思春期や10代におけるアスペルガー症候群の知能と成熟度

今回は主に思春期や10代のアスペルガー症候群の特徴について書きます。

一般的に生徒の学力や環境適応力を測る最良の方法はIQテストであると考えられています。アスペルガー症候群の人たちは、比較的知能が高いといわれています。IQテストでは平均ないし平均以上の数値を示す人が多いようです。

ところが、そのようなIQの高さがあっても、スケジュールの変更などがあったときに不安になったり、学校に宿題を忘れて帰ったり、複数の指示に従えなかったりします。

記憶力は高くても情緒的な成熟度が低い

アスペルガー症候群やADHDなど神経学的障害のある若者の情緒的な成熟度は、実年齢よりもかなり低いといわれています。その度合いが同年齢の3分の2程度ともいわれています。

具体的にここでの「成熟度」とは、周囲の人たちのコミュニケーションです。相手の怒った顔、微笑んだ顔、退屈そうな顔などを見て相手の気持ちを理解する力のことです。普通の場合、それらを理解して自分はどのような立ち振る舞いをすれば良いかがわかり、その状況に適した(謝る、話題を変える、気遣いをするなど)行動をとります。

しかしアスペルガー症候群の子供にとっては、この理解がとても難しく感じてしまうのです。生徒同士のコミュニケーションの中では、この微妙なやりとりがうまくできないことによって、「どうやって溶け込んだらいいのかわからない」という気持ちを芽生えさせ、距離を置かれてしまったり、孤独を感じることも多いのです。

どう溶け込んだらいいのかわからない気持ちの中、あれこれ「その場に適した発言」を模索し試行錯誤していると、あべこべな発言をしてしまうこともあります。そのうち同年代の周囲からは「とんちんかんな人」「世間知らずな人」「年齢不相応な発言をする人」と認識されてしまいます。

この経験が、周囲との違和感、距離感を感じる最初の段階かもしれません。繊細な子供はこの段階で人とのコミュニケーションについて悩み始めます。「なぜ自分だけみんなとうまくやりとりできないのか。」理由もわからないので漠然と不安になります。

スポンサードリンク

卓越した機械的記憶力

コミュニケーションの悩みもあるアスペルガー症候群ですがその反面、記憶力が高いという特徴もあり、それが会話とマッチングすると、ネタが充実していたり、知識が豊富という印象を相手に与えることができて、周囲との会話が弾むことも少なくありません。多種様々な記憶をする力に優れているアスペルガーの特性はオリジナリティな強みにもなります。

アルペルガー症候群の学生は、クイズ大会のような場面では大活躍できる可能性も秘めています。

機械的な記憶力と紐づけの困難

このような卓越した機械的な記憶力は、確かに素晴らしい能力です。しかしこの能力は周囲に誤解を生みます。記憶力は秀でているため、周囲の人は「自分の話している概念がわかっている」という印象を与えますが、実際はそうでないこともしばしばあります。

アスペルガーの人は、文章や会話のなかでそれが何らかの理由で引きつけられた「語句」をかいつまみ、それを理解しているかのように機械的に用います。そのため客観的に理解力があるレベルが高い人という印象を与えます。しかし文章の中身や登場人物の心の動機などを理解するのが苦手です。

国語のテストなどで「彼の気持ちはどういう思いだったのか答えなさい」という問いにまったく答えられないというケースがあります。つまり機械的な問題には答えられても、心情を理解する問題は得意ではないのです。そのため漢字や英語の暗記のテストは得意でも、文章読解が苦手という人も多いです。

スポンサードリンク

「心の理論」に苦しむアスペルガー症候群

心の理論とは、
「他者の考えについて、また、他者が私の考えについてどう思うかを考える能力、さらに他者が自分の考えを私にどう思われているかを考える、などの能力」クーミン、リーチ、スティーヴンソン (1998)

これはアスペルガー症候群のすべての人たちに共通する問題といえます。
特に思春期の子供たちにとっては大きな難題でもあります。

普段私たちは、誰かと話すときに自然と”相手が自分が話す内容に興味を持っているかどうか”ということを推し量ろうとします。相手の表情、声、態度などから、自分の推測が正しいかどうかを判断したりします。特に思春期の子供たちは、自分は「非常に繊細で鋭い感覚」を持っていると思っています。

本当はわくわくしたり魅了されていることでも、冷静にふるまったり、そっけない様子でうなづいたり、自分たちだけの言葉や暗黙の言語があると思われます。アスペルガーの子供はそういったことを言語やふるまいを理解することができないので、なかなか彼らに溶け込むこともできないケースもあります。場合によっては理解できないのでコミュニケーション自体を無視してしまうこともあります。

こうなると周囲からは「あいつは危険だ」「態度が悪い」などと思われて孤立してしまうのです。こういった心の理論のスキルが弱いと、思春期から周囲とうまく協調して関係を築くことがむずかしくなってしまい、社会にでても同じような状況で協調することができず、孤立し続けるケースもあります。

その時に気心知れた同僚や友人がそばにいるかいないかで、生きづらさの感じ方も大きく変わってくるのです。
スポンサードリンク

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク